「リモートワーク継続」を希望する声が半数を超える51.7%

一方、マネージャーの5人に1人は「リモートワークを続けたくない」と回答

2020.06.24

プレスリリース

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HRテクノロジー業界を牽引する株式会社カオナビ(本社 東京都港区、代表取締役社長 CEO 柳橋 仁機)の研究機関「カオナビHRテクノロジー総研」(以下「当総研」)は、「リモートワーク」についての実態調査を実施しています。現在リモートワークを行っている人の声から、リモートワークの「今」と「未来」を考察します。
最終回となる今回は、調査レポートの第三弾として「リモートワークの未来」に焦点を当て、当総研 研究員の齊藤による考察とともに、リモートワーク浸透の現状を報告します。
(調査結果詳細URL: https://ri.kaonavi.jp/20200624/

調査結果

調査結果①: リモートワーク継続希望は半数を超える51.7%
調査結果②: マネージャーの5人に1人(21.3%)がリモートワークを「続けたくない」と回答
調査結果③: リモートワーク継続の懸念点は「人材育成」「業務進捗スピード」「成果維持・創出」
調査結果④: リモートワークに役立つ施策は「オンラインweb会議ツール」を筆頭に、ITツールの導入・活用が上位を独占

本調査実施の背景

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワーク、在宅勤務、リモートワーク等の「出社をしない」働き方(以降、すべての働き方を含めて「リモートワーク」とします)を始めた方も多いのではないでしょうか。そこで当総研では、リモートワークについての実態調査を実施しました。

アンケート調査概要

  • 調査対象:20代~60代の自由業を除く、かつ従業員数10名以上の会社に勤めている「毎日リモートワーク」もしくは「週に2~3日出社し、その他はリモートワーク」をしている人 300名
  • 調査期間:2020年5月1日(金)~2020年5月7日(木)
  • 調査内容:
    ①Web上でリモートワークについての質問項目に、選択・記述式で回答
    ②結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(レポート中にとりあげている2群の差異[図2および図3]はt検定で有意を検出したものです。また回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。)

調査結果①:リモートワーク継続希望は半数を超える51.7%

【結果】<SA><n=300>
リモートワークの継続希望を調査したところ、「続けたい」が51.7%(「続けたい」28.7%+「やや続けたい」23.0%)となり、半数以上がリモートワークの継続を希望しています。
一方、「続けたくない」は16.0%(「やや続けたくない」6.0%+「続けたくない」10.0%)で、2割を下回る結果となりました。

調査結果②:マネージャーの5人に1人(21.3%)がリモートワークを「続けたくない」と回答

【結果】<SA><n=300>
調査結果①で明らかになったように、多くの人がリモートワークの継続を希望するものの、回答者の属性によっては継続を希望する割合に若干のギャップが生じました。調査レポート第二弾※でも、リモートワークの「働きやすさ」や「生産性」についての評価は、部下に比べてマネージャーの方が低い傾向がありました。継続希望についても同様で、マネージャーの5人に1人は「続けたくない派(21.3%)」です。

部下の有無以外には、性別でも差異が生じています。男性(「続けたい」49.4%)に比較し、女性(「続けたい」63.3%)の方がリモートワークの継続を希望する割合が13.9ポイント高い結果となりました。同様に、「続けたくない」と回答した割合も男性(17.5%)に比べて、女性(8.2%)の方が9.3ポイント低いことが分かりました。
※「リモートワーカーは何を感じている?~リモートワーク実態調査レポート2~(2020年6月10日発表)」:https://ri.kaonavi.jp/20200610/

調査結果③:リモートワーク継続の懸念点は「人材育成」「業務進捗スピード」「成果維持・創出」

【結果】<MA><n=300>
調査レポート第二弾※の結果から、リモートワークは多くの人が「働きやすい」と評価していることが分かりました。さらに調査結果①の通り、過半数が「継続したい」と希望しています。そこでリモートワークの浸透が拡大する可能性がある中、「リモートワークが継続することになった場合の、組織としての懸念」に関する調査を実施しました。
上位の回答は、「人材育成が難しくなる(39.0%)」「業務の進捗が遅くなる(32.0%)」「売上や達成率等の成果を維持しづらくなる(28.3%)」となり、次点の「組織文化や風土の醸成が難しくなる(18.0%)」よりも10ポイント以上高い結果となりました。

これらは、リモートワーカーの主観的な懸念を聞いた調査のため、上位だから重要な組織課題である、とは必ずしも言えません。しかしながら、上位の懸念については従業員に当事者意識が芽生えていることが分かり、これらの組織課題が残り続ければ、従業員の不安や不満につながる可能性がうかがえます。
調査レポート第二弾※では、リモートワーク下では多くの人が「生産性が落ちた」「社内コミュニケーションが減った」という調査結果が明らかになりました。こうした状況が続くと、組織として「人材育成」「業務進捗スピード」「成果維持・創出」に課題が生まれてくることが予想されます。また、これらの課題は「マネジメント上の課題」とも言い換えられますが、マネージャーはそのプレッシャーを感じ、リモートワークをネガティブに評価しているとも考えられます。

※「リモートワーカーは何を感じている?~リモートワーク実態調査レポート2~(2020年6月10日発表)」:https://ri.kaonavi.jp/20200610/

調査結果④:リモートワークに役立つ施策は「オンラインweb会議ツール」を筆頭に、ITツールの導入・活用が上位を独占

【結果】<MA><n=300>
多くの課題もあるリモートワークですが、「リモートワークに役に立った、役に立ちそうな施策」では、「オンライン会議ツールの導入・活用(40.0%)」が他の回答を大きく上回り、もはやリモートワークには欠かせないツールであることが分かりました。
次点は「特になし(24.7%)」で、意外な結果ではありますが、選択肢に挙げたITツールが利用できなかった時代には、携帯電話やノートパソコンなどの最低限の機器でリモートワークをしていた人も存在していました。リモートワークを可能とする条件は、本質的にはツールの整備だけではなく、マネジメントやそれに付随するルール、コミュニケーションの在り方などに潜む「こうするべきだ」「こうするものだ」というこれまでの常識を、改めて問い直すことが求められていることがうかがえます。
さらに、3位「ワークフローツールの導入・活用(22.3%)」から、6位「タレントマネジメントツールの導入・活用(21.0%)」までは、「業務アプリケーションツールの導入・活用」に関する回答が並びました。業務進捗スピードや成果を維持するため、まずは出社していた時の業務遂行を再現できるよう、ツールを整備して欲しいというニーズが明らかになりました。

本調査結果を踏まえた考察「リモートワークは価値があるか?」
カオナビHRテクノロジー総研研究員・齊藤直子による考察

「カオナビHRテクノロジー総研」では、リモートワークの実態について、第一弾、第二弾と合わせて計3回にわたり、調査を実施してきました。様々な角度からリモートワークの実態を調査し、リモートワークの浸透で明らかになったポイントを5つにまとめました。

  1. リモートワーク実施率
    ・リモートワーカーは全国的には少数派で、首都圏/IT業界/ホワイトカラー/大企業に多い
  2. リモートワークの評価
    ・多くの人のリモートワークをしてみた実感は「働きやすいが、生産性が落ちる」
    ・多くの人がリモートワークは「継続したい」
  3. リモートワークのメリットとデメリット
    ・リモートワークの主なメリットは「時間や心身のゆとり」、デメリットは「セルフマネジメントの難しさ」
    ・「社内コミュニケーションの減少」をメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかは人それぞれ
  4. リモートワークの課題
    ・リモートワークは生産性が低下し、コミュニケーションも取りにくいため、部下を持つマネージャーにとっては難しい「マネジメント上の課題」である
    ・長期的には「人材育成」「業務進捗スピード」「成果維持・創出」という課題をリモートワーカーは懸念している
  5. リモートワークに必要な施策
    ・オンライン会議ツールの導入は、リモートワークではもはや必須である
    ・業務アプリケーションツールも、最低限整備されている必要があると推測される

リモートワークは、今後取り組むべき価値があるのでしょうか?
企業にとって、新型コロナウイルスのような不測の事態においても「事業継続ができる」というのは、リモートワークのシンプルな価値の一つです。米大手HCMベンダーのADP社の実施した、アメリカの中小規模の事業者1,000社を対象とした調査※によると、小規模事業者で52%、中規模事業者で43%が、新型コロナウイルスの影響で休業もしくは営業時間の短縮を余儀なくされました。リモートワークが難しい業種・職種は当然ありますが、可能な範囲でリモートワークを整備することは、自然災害や事故なども含めた様々なリスクに対しての対応策となります。
リモートワークのコスト削減メリットはどうでしょうか。ニュースでもオフィス撤退・縮小の動きが取り上げられており、目にした人も多いかと思います。オフィス撤退・縮小の意思決定がなされれば、当然大幅な固定費の削減が期待できます。ただし、今回の調査からも分かる通り、オンライン会議ツールを始めとしたITツールの整備が一定程度は必要となるため、相殺されてしまう部分もあるでしょう。
今回の調査を通じて、リモートワークは働く人にとって利点も多く、継続希望者も多くなっています。この度の新型コロナウイルス感染拡大下においてですら、リモートワークを経験した人は全国的には少数派ではありますが、それでも「リモートワークは良いものだ」と実感した人が以前と比較し、格段に増加した時期だったといえるでしょう。今後「リモートワークが可能である」という条件が、特にリモートワーク実施率の高かった「首都圏」「IT業界」「ホワイトカラー」「大企業」といったカテゴリ内では、採用候補者や従業員にとって大きな魅力になるでしょう。また企業にとっても、リモートワークが可能であれば、物理的な距離を気にせず従業員が採用できるため、採用競争力の強化につながります。
「リモートワーク下でのマネジメントをどうすべきか」というチャレンジングな課題はありますが、従業員の採用やエンゲージメント向上、離職防止の文脈でも、企業にとってリモートワークは、積極的に取り組む必要も、そして価値のあるものだと言えそうです。
※出典:ADP社webサイト “The challenges, actions, and outlook of small and midsized businesses”
https://www.adp.com/-/media/adp/resourcehub/pdf/covid-19-survey-infographic.pdf

カオナビHRテクノロジー総研について


正式名称

カオナビHRテクノロジー総研


設立

2017年12月


研究領域
  • HRテクノロジー(IT、新技術を用いた人事・組織施策)
  • ピープルアナリティクス(人材データの分析・活用)
  • 組織・人事課題の解決

活動内容
  • 「HRテクノロジー」「ピープルアナリティクス」における調査・研究およびレポート等による情報発信
  • 人事・組織に関する調査・研究・情報発信
  • 産学連携による共同研究

所長

内田 壮


所在地

〒107-0051 東京都港区元赤坂1-2-7 AKASAKA K-TOWER 5階


株式会社カオナビについて

株式会社カオナビは、企業の人材情報をクラウド上で一元管理できる人材管理システム『カオナビ』を提供しています。社員の顔や名前、経験、評価、スキル、才能などの人材情報を可視化することで、最適な人材配置や抜擢といった人材マネジメントをサポートしています。今後も、人材マネジメントのプラットフォームとして、日本の「働き方」を変えていきたいと考えています。
所在地 : 東京都港区元赤坂1-2-7 AKASAKA K-TOWER 5F
設 立 : 2008年5月27日
資本金 : 10億1,827万円 ※2020年3月末時点
代表者 : 代表取締役社長 CEO 柳橋仁機
事業内容: クラウド人材管理システム『カオナビ』の開発・販売・サポート
会社HP: https://corp.kaonavi.jp/

本件に関するお問い合わせ

株式会社カオナビ 広報担当
TEL : 03-5775-3823 MAIL : pr@kaonavi.jp
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<本プレスリリースに関しまして>

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