リモートワーク中心の組織は、71.4%がリモートワークを継続予定
50.0%が「出社とリモートワークを選択したい」一方で、12.4%は「出社に戻りたい」
HRテクノロジー業界を牽引する株式会社カオナビ(本社 東京都港区、代表取締役社長 CEO 柳橋 仁機)の研究機関「カオナビHRテクノロジー総研」(以下「当総研」)は、「リモートワーク」についての実態調査を実施しています。今回は、「リモートワークの未来」に焦点を当て、当総研研究員の齊藤による考察とともに、リモートワークの現状を報告します。
(調査結果詳細URL: https://ri.kaonavi.jp/20201022/ )
調査結果
調査結果①: リモートワーク中心の組織は、71.4%がリモートワークを継続予定
調査結果②: 50.0%が「出社とリモートワークを選択したい」一方で、12.4%は「出社に戻りたい」
調査結果③: 40.0%が社内の対面コミュニケーション減少は「悪いこと」と回答
調査結果④: リモートワーカーの75.3%は、社内の対面コミュニケーションの減少で困ったことがある
調査結果⑤: 社内コミュニケーションの減少による二大困りごとは、「何気ない会話でリラックスできない」「周囲の動向や仕事の状況を知ることができない」
調査結果⑥: 「コミュニケーション施策」「制度の見直し」「ワークフロー整備」は多くが着手
調査結果⑦: 求めているのは「制度の見直し」「ワークフロー整備」「人材情報の整備」
本調査実施の背景
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワーク、在宅勤務、リモートワーク等の「出社をしない」働き方(以降、すべての働き方を含めて「リモートワーク」とします)を始めた方も多いのではないでしょうか。そこで当総研では、リモートワークについての実態調査を実施しました。
アンケート調査概要
- 調査対象:20代~60代の自由業を除く、かつ従業員数10名以上の組織に勤めている「勤務時間の半分以上は出社せずにリモートワークで働き、それ以外は就業場所に出社している」もしくは「基本的に毎日、リモートワークで働いている」300名
- 調査期間:2020年8月21日(金)~2020年8月24日(月)
- 調査内容:
①Web上でリモートワークについての質問項目に、選択・記述式で回答
②結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出
調査結果①:リモートワーク中心の組織は、71.4%がリモートワークを継続予定
【結果】<SA><n=300>
リモートワーク中心の働き方をしている回答者が所属する組織の「リモートワーク継続方針」について聞いたところ、「出社とリモートワークが併存」が最多の56.7%となりました。また、「出社とリモートワークが併存(56.7%)」「フルリモートワークに移行(11.0%)」「すでにフルリモートワーク(3.7%)」の合計が71.4%となり、一部でもリモートワークを継続予定が7割を超えました。現状リモートワークをしている組織の多くでは、リモートワーク継続の意思があることがうかがえます。
一方で、「出社に戻る」と回答しているのは13.3%となりました。過去の調査※では、全国的には「毎日出社」が7割を超えていることがわかり、日本の働く人の多数派は「出社」ですが、局地的にはリモートワークが進展する兆しが見えています。
※ リモートワーク実態フォロー調査レポート1(2020年9月17日発表): https://ri.kaonavi.jp/20200917/
調査結果②:50.0%が「出社とリモートワークを選択したい」一方で、12.4%は「出社に戻りたい」
【結果】<SA><n=300>
「どのような勤務形態が望ましいか」については、「出社とリモートワークが選択可能」が最多の50.0%となりました。希望する理由については、「業務内容によっては出社が必要、もしくは効率がよいため」という回答が多数見られ、「リモートワークの継続を望んでいるが、必要時には出社したい」と思う人が多いようです。
次いで、「全員がリモートワークとなり許可制で出社」が30.0%となり、その理由として特徴的だったのは、「全社的に出社優先であるが、自分がリモートワークを限定許可されているため、全体としてリモートワーク優先になるとよい」といった回答でした。制度としてリモートワークと出社の選択が可能となっても、実態は出社が多数派になるため、「原則リモートワークで、許可制で出社」を望む、という人もいるようです。
一方で、「全員が原則出社(3.7%)」と「全員が出社し許可制でリモートワーク(8.7%)」と回答した割合を合計すると12.4%となり、少数派ではありますが、1割強の人は「出社中心」の働き方を望んでいます。理由としては「対面でのコミュニケーションが重要」といった主旨の回答が目立ちました。
調査結果③:40.0%が社内の対面コミュニケーション減少は「悪いこと」と回答
【結果】<SA><n=300>
リモートワーカーが「社内の対面コミュニケーションの減少」について、どのように評価しているのかを聞きました。「社内の対面コミュニケーションは減少していないので、評価ができない」と回答した2.7%を除き、97.3%がリモートワークによって「社内の対面コミュニケーションが減少した」と認識しています。さらに「対面コミュニケーションの減少」について、25.7%が「良い」と評価しています。過去の調査※でも、リモートワークのメリットとして、「会議等の無駄なコミュニケーションが減った、もしくは減りそう」、「人間関係のストレスから解放された」が上位に挙がっており、良いと評価した裏付けになると考えられます。一方で、40.0%が社内の対面コミュニケーションの減少を「悪い」と評価しており、多数派となりました。
※ リモートワーク実態調査レポート2(2020年6月10日発表): https://ri.kaonavi.jp/20200610/
調査結果④:リモートワーカーの75.3%は、社内の対面コミュニケーションの減少で困ったことがある
【結果】<SA><n=300>
「社内の対面コミュニケーションが減少したことで、うまくできずに困っていることはありますか」という質問に対し、「特にない」と答えた回答者は22.0%となりました。また、そもそも社内の対面コミュニケーション減少はないと回答している2.7%を除いた、75.3%のリモートワーカーが「困ったことがある」と回答しています。
調査結果⑤:社内コミュニケーションの減少による二大困りごとは、「何気ない会話でリラックスできない」「周囲の動向や仕事の状況を知ることができない」
【結果】<MA><n=292>
「社内の対面コミュニケーションは減少していない」と回答をした人を除き、292名のリモートワーカーに「社内の対面コミュニケーションが減少したことで、うまくできずに困っていること」を聞きました。上位2回答は「何気ない会話でリラックスをすること(29.8%)」「他部署や他チームの動向や、周りの人の仕事の状況を自分が知ること(27.4%)」となり、次点の「部下や後輩への指示・指導や育成(20.2%)」と7ptほど離れています。
また、回答結果は「部下の有無」で差が開いています。上司(=部下あり群、回答数は138名)のみの回答率と、部下(=部下なし群、回答数は154名)のみの回答率に分け、トップ5を見ると、回答項目は上司と部下の立場の違いからくる、自然な結果と言えそうです。しかしながら注目したいのは、全体の上位2回答の「何気ない会話でリラックスをすること」「他部署や他チームの動向や、周りの人の仕事の状況を自分が知ること」が、上司側でも部下側でもトップ3に挙がっています。この2回答は、立場の違いに関係なく、共通した困りごとだということが分かります。
調査結果⑥:「コミュニケーション施策」「制度の見直し」「ワークフロー整備」は多くが着手
【結果】<MA><上司:n=143>
リモートワークでの困りごとは様々ありますが、上司(=部下あり群)の143名に、「ご自身もしくは組織として、どのようなマネジメント上の工夫をしているか、あるいは工夫する予定か」を聞きました。コミュニケーション量が減ることは、予期しやすかったことがうかがえ、上位には「テキストコミュニケーションの活性化(29.4%)」「チームでの公式の会話のコミュニケーションの機会(24.5%)」「メンバーとの1対1の会話のコミュニケーションの機会(20.3%)」といった、コミュニケーション施策が挙げられています。また、「働き方の多様化を推進する制度の見直し(23.1%)」「ワークフローの可視化と共有やフロー構築(20.3%)」も上位に入りました。
調査結果⑦:求めているのは「制度の見直し」「ワークフロー整備」「人材情報の整備」
【結果】<MA><n=300>
部下なし群も合わせて「リモートワーク環境下で、行ってほしいマネジメント上の工夫」を聞いています。「特になし(31.3%)」が最多となり、次いで、「実施済もしくは実施予定の工夫」の上位にも挙げられた「働き方の多様化を推進する制度の見直し(24.0%)」「ワークフローの可視化と共有やフロー構築(21.0%)」が続きました。一方で、「コミュニケーション施策群」は希望する項目では上位に挙げられませんでした。コミュニケーションについては、実際には必要性をそこまで感じていない、もしくはすでに実施済の施策で十分にニーズが満たされているのでしょうか。
「実施済もしくは実施予定の工夫」では、上位ではなかった「人材情報の可視化と共有」が20.0%と、相対的に上位に挙げられています。オフィスであれば無意識に伝達できたかもしれませんが、リモートワーク下で意識的にコミュニケーションをするのは難しいことがうかがえます。
本調査結果を踏まえた考察「リモートワーク実態フォロー調査を通じて」
カオナビHRテクノロジー総研 研究員・齊藤直子による考察
カオナビHRテクノロジー総研では、計3回に渡り「リモートワーク実態フォロー調査レポート」を発表してきました。本調査を通じて、リモートワークは現状の日本においては低調で、局地的な現象に収束していることがわかりました。「局地的な現象」とは具体的には、首都圏/大企業/IT・インターネット/ホワイトカラーに集中して、リモートワークがなされているということです。しかしながら、その局地である「リモートワーク中心の組織」では、フルリモートワークの比率も高く、リモートワークが継続されていく見通しです。
リモートワークで物理的な距離が離れることで、不安や困りごとが増幅される側面があることも、今回の調査で分かりました。特に、上司側は「周りがさぼっているのではないか」と不安に思う一方で、部下側は「自分がさぼっていると、周りに思われている」ことを不安に思っているという、あまり具合がよくない上司・部下間の認識ギャップも浮き彫りになりました。しかしながら、このような不安や困りごとは「リモートワークが生む弊害」なのかということには、慎重にならなくてはなりません。
前回5月の調査(https://ri.kaonavi.jp/20200610/)では、リモートワークによる自身の生産性実感についてリモートワーカーに聞いています。生産性について、「上がった」よりは「下がった」が多数でしたが、緊急事態宣言の直後だったこともあり、生産性実感については改善傾向にあるだろうと思われます。しかしながら、それ以上に注目したいのは、最多の回答は「特に変わらない」であるということです。リモートワークが「個人の成果」に与えるインパクトは、よくも悪くもですが、大きくはないのです。「さぼり」についての上司・部下間の認識ギャップも、リモートワークだから新たに生まれた不安というよりは、出社時にあった課題の顕在化や、感情の増幅が起こっていると見た方が自然です。
懸念や課題はありますが、従業員にとっては「時間の余裕ができる」という点はリモートワークの顕著なメリットであり、リモートワーカーの多くはリモートワーク継続を望んでいます。またリモートワークを導入している組織も、継続予定が多数派です。そして、個人や組織に留まらず、これまでは労働時間に柔軟性がないために働けなかった、もしくは働きづらかった人々が、リモートワークで働きやすくなるということはあるでしょう。日本の社会に与えるインパクトも、大きいものがあります。
組織としてリモートワークを導入すべきか否か、といった視点はもちろん重要です。しかしながら同時に、どんな社会や組織が望まれていて、そのとき「人々の働き方」はどうなっているとよいのか、という視点でも、議論が進んでいくことを望みます。その時の人々の働き方の選択肢の一つがリモートワークであり、有意義な活用方法があるのではないでしょうか。
カオナビHRテクノロジー総研について
カオナビHRテクノロジー総研
2017年12月
- HRテクノロジー(IT、新技術を用いた人事・組織施策)
- ピープルアナリティクス(人材データの分析・活用)
- 組織・人事課題の解決
- 「HRテクノロジー」「ピープルアナリティクス(※)」における調査・研究 およびレポート等による情報発信
- 人事・組織に関する調査・研究・情報発信
- 産学連携による共同研究
内田 壮
〒107-0051 東京都港区元赤坂1-2-7 AKASAKA K-TOWER 5階
株式会社カオナビについて
株式会社カオナビは、企業の人材情報をクラウド上で一元管理できる人材管理システム「カオナビ」を提供しています。社員の顔や名前、経験、評価、スキル、才能などの人材情報を可視化することで、最適な人材配置や抜擢といった人材マネジメントをサポートしています。今後も、人材マネジメントのプラットフォームとして、日本の「働き方」を変えていきたいと考えています。
所在地 : 東京都港区元赤坂1-2-7 AKASAKA K-TOWER 5F
設 立 : 2008年5月27日
資本金 : 10億1,827万円 ※2020年3月末時点
代表者 : 代表取締役社長 CEO 柳橋仁機
事業内容: クラウド人材管理システム「カオナビ」の開発・販売・サポート
会社HP: https://corp.kaonavi.jp/
本件に関するお問い合わせ
株式会社カオナビ 広報担当
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